ITツール登録とは
目次
この記事は、中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局が公開しているITツール登録要領(2026年5月15日改訂版)、ITツール登録マニュアル(2026年7月9日改訂版)、ITツール登録における注意ポイント(2026年6月12日改訂版)、デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)(2026年5月15日改訂版)をもとに作成しています。
1. ITツール登録とは
先に結論です。登録が完了していないITツールは、交付申請に使えません。 商談がどれだけ進んでいても、公募回の締切までに登録が終わっていなければ、その回では申請できません。登録審査にかかる期間の目安は、公式資料では受付日から最長10営業日程度とされています。実際には3営業日程度で審査結果が出ることが多いですが、差し戻しがあれば、その分だけ登録は遅くなります。
ITツールとは、この補助金においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称です。自社の商品がそのままITツールになるのではなく、事務局の審査を通って登録されたものだけがITツールと呼ばれます。
登録の対象になるものと、ならないものを先に整理します。
- ITツールは大分類Ⅰ(ソフトウェア)からⅤ(サイバーセキュリティお助け隊サービス)まで、カテゴリー1から10までに分類されます
- 大分類Ⅰソフトウェア(カテゴリー1)が事業の中核です。オプション・役務は、登録済みのカテゴリー1に紐づけて登録します
- カテゴリー8(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機)は登録が不要で、交付申請の際に内容を申告します。それ以外のITツールは登録が必要です
交付申請で選べるのは、登録が完了しているITツールだけです。審査の目安は最長10営業日程度で、不備で差し戻された場合は、訂正して再申請したところから審査がやり直しになります。「補助事業者が決めてから登録を始める」進め方では、公募回に間に合わない場面が出てきます。
デジタル化・AI導入補助金2026は、2026年度に旧IT導入補助金から名称が変わった制度です。旧IT導入補助金で登録した実績があっても、2026年度は改めて登録の手続きが必要です。
この記事に出てくる言葉
公式資料や申請画面で使われている言葉です。この記事では、はじめて出てきたところで意味を添えていますが、途中で分からなくなったらこの表をご覧ください。
| 言葉 | どういう意味か |
|---|---|
| ITツール | IT導入支援事業者が提供し、事務局に登録されたソフトウェア・オプション・役務・ハードウェアの総称です |
| IT導入支援事業者 | 補助金を使ってITツールを売る側として、事務局に登録した会社です |
| 補助事業者 | 補助金を活用して、ITツールの導入を希望する中小企業です |
| 大分類・カテゴリー | ITツールの分類です。大分類Ⅰ〜Ⅴ、カテゴリー1〜10に分かれます |
| プロセス | ITツールが対応する業務領域の分類です。共P-01のようなコードで表します |
| 先行登録申請 | IT導入支援事業者の登録申請と同時に行う、1つ目のITツールの登録申請です |
| 機能説明資料 | ITツールの機能・仕様を説明する提出資料です |
| 価格説明資料 | ITツールの価格の根拠を説明する提出資料です |
| 標準販売価格 | 定価のことです |
| 最小販売価格 | 最大値引き後の価格のことです |
| 変更追加 | 登録済みのITツール情報を、再審査を受けて変更する手続きです |
| IT事業者ポータル | 登録や申請をする画面です。事務局からアカウントが発行されます |
| 交付申請 | 補助金を申請することです |
| 交付決定 | 事務局が「補助金を出します」と決めることです。これより前にITツールを契約・発注すると、補助の対象になりません |
| コンソーシアム | 複数の会社がひとつのチームとして登録する形です |
| 幹事社 | コンソーシアムの代表になる会社です。事務局とのやりとりを取りまとめます |
| 構成員 | コンソーシアムに一緒に入る会社です |
2. 登録できるITツールの条件
カテゴリー1(ソフトウェア)の登録要件は、次の5つが柱です。
- 業務プロセスまたは汎用プロセスのうち、いずれか1つ以上に該当する機能を持つこと
- 「業種」「業務範囲」「業務機能」等の仕様を明確に定義して開発され、一般に販売が開始されていること
- 1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーすること
- 販売する価格に経済的合理性があり、市場価格を逸脱していないこと
- 恒常的に使用されるITツールであること
ここが誤解されやすい点です。「この機能はこれから開発する予定です」というソフトウェアは登録できません。登録要件が「一般に販売が開始されていること」を求めているためです。インボイス枠を狙って決済機能を後から追加する計画も、登録の段階では要件を満たしません。予定ではなく、いま販売しているものが対象です。
全カテゴリーに共通して、登録の対象外になるものがあります。
| 対象外になるもの | 補足 |
|---|---|
| 対外的に無償で提供されているもの | カテゴリー1のうち「スマートレジ」に該当するものだけが例外です |
| リース・レンタル | 大分類Ⅴサイバーセキュリティお助け隊サービスを除きます |
| 中古品 | — |
| 交付決定前に購入したもの | 契約・発注は交付決定後です |
| 交通費・宿泊費、申請代行費、消費税 | — |
| 金額が未定のもの | 価格の上限を定めて登録します |
無償で提供しているソフトウェアの例外については、「スマートレジとは」で解説しています。
カテゴリー1(ソフトウェア)には、さらに細かい対象外の定めがあります。代表的なものを挙げます。
| 対象外になるもの | どういうものか |
|---|---|
| 単一の処理しか持たないもの | 入力したデータを計算して、帳票やグラフに出すだけのものです。会計業務全般ではなく請求書の作成機能しかない、といったソフトウェアが当てはまります |
| 商品・サービスへの付加価値が目的のもの | 補助事業者の業務を効率化するのではなく、補助事業者が販売する商品やサービスの価値を高めるためのものです |
| 恒常的に利用されないもの | 緊急時など一時的に使うことが目的のものや、生産性向上への貢献が限られるものです |
| ハードウェア製品 | 大分類Ⅳハードウェアとして扱うもので、ソフトウェアとしては登録できません |
| 組込み系ソフトウェア | 特定の機器を動かすことに特化した専用システムです。タッチペンに組み込まれたシステム、印刷機の制御システムなどが当てはまります |
| 大幅なカスタマイズが必要なもの | 業務プロセスに影響を与えるほどの作り込みが必要なものです |
| 未完成のもの・スクラッチ開発を伴うもの | 登録申請の時点で製品ができていないものです。過去に特定の顧客向けに開発したコードを別の顧客に再利用し、その顧客に合わせて追加開発するものも含みます |
| 増台・追加ライセンス・リビジョンアップ | すでに購入済みのソフトウェアを増やす費用や、版を上げるための費用です |
| 追加モジュール・アドオン・プラグイン | すでに導入済みのソフトウェアの機能を追加・拡張することが目的のものです |
| 特定の顧客向けのもの | 一般市場に販売していないものです |
| 広告宣伝に類するもの | 広告宣伝の費用が含まれるものも対象外です |
| 単なる情報提供サービス | 会員登録してWEB上でサービスを受ける仕組みなど、業務の機能を持たないものです。コンテンツを配信・管理するだけのシステムも同じ扱いです |
3. カテゴリーと登録の単位
誤解されやすい点があります。「自社の商品1つ=ITツール1件の登録」ではありません。登録の単位には決まりがあります。
プランごとに別の登録申請が必要
1つのソフトウェアに複数のプランがある製品は、プランごとに登録申請を行う決まりです。スタンダードプランとエンタープライズプランがあるソフトウェアなら、2件の登録申請が必要です。機能説明資料にもプラン名を明記します。
1件の登録に複数の品目を混在させられない
複数のITツールや、カテゴリーの異なるITツールを1件にまとめて登録することはできません。それぞれ個別に登録し、交付申請の段階で組み合わせる決まりです。登録の審査でも、1件の中に複数のソフトウェアやオプション・役務・ハードウェアが混ざっていないかが確認されます。2つのソフトウェアをパック料金として1件に登録することはできません。セット販売をしたい場合も、ソフトはそれぞれ個別に登録し、交付申請の段階で組み合わせます。
登録した内容は、あとから現場の判断で動かせません。交付申請や実績報告のときに、IT導入支援事業者や補助事業者の判断で機能を増やしたり減らしたりすることはできない決まりです。登録の単位と中身は、登録申請の時点で決まります。
カテゴリー8とカテゴリー9の違い
カテゴリー8(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機)は事前登録不要です。交付申請の際に内容を申告します。
カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)は登録が必要です。カテゴリー9の登録要件には、決済機能を有するカテゴリー1のPOSレジシステムとして登録されたソフトウェアをインストールして利用するための機器であることが含まれます。カテゴリー1のソフトウェアが先に登録されていなければ、そのハードウェアも登録できません。
IT導入支援事業者そのものの登録手続きについては「IT導入支援事業者の登録とは」をご覧ください。先行登録申請(IT導入支援事業者の登録申請と同時に行う最初のITツールの登録)も、そちらで解説しています。
ソフトウェアが登録を通ってから、そのソフトに対応するハードウェアを登録する順序になります。ソフトとハードを同時に提案したい場合、スケジュールを2段階で逆算する必要があります。
4. プロセスの選び方
業務プロセスと汎用プロセス
プロセスとは、ITツールが対応する業務領域の分類です。大きく業務プロセスと汎用プロセスの2種類があります。
| 種別 | 内容 |
|---|---|
| 業務プロセス(共通プロセス) | 顧客対応・決済・在庫・会計・総務人事など(共P-01〜共P-05) |
| 業務プロセス(業種特化型プロセス) | 業種固有の業務(各業種P-06) |
| 汎用プロセス | 業種・業務に限定されず、業務プロセスとともに導入することで生産性向上や効率化に資する機能(汎P-07) |
1件の登録の中で、業務プロセスと汎用プロセスの両方を選ぶことはできません。 どちらか一方です。
ただし、これは1つのソフトウェアの中での話です。汎用プロセスのソフトウェアを別に登録しておけば、業務プロセスのソフトウェアと組み合わせて交付申請できます。汎用プロセスは、業務プロセスとともに導入することで生産性向上に資する機能、と位置づけられているためです。
プロセスの数と補助額の関係
通常枠では、申請する補助額によって必要なプロセスの数が変わります。
| 補助金申請額 | 必要なプロセス |
|---|---|
| 5万円〜150万円未満 | 業務プロセスを1種類以上含む大分類Ⅰソフトウェアが1つ以上含まれていること |
| 150万円〜450万円以下 | 大分類Ⅰソフトウェアが保有するプロセスの合計が4種類以上であること |
いずれの場合も、汎用プロセス(汎P-07)だけでは交付申請できません。150万円以上の提案をするなら、プロセスを4種類以上そろえる必要があります。プロセスを多く選んでおきたくなるのはそのためです。しかし、プロセスを増やすほど、過去に補助金を使った補助事業者への提案で「重複」に当たりやすくなります。
プロセスの重複は減点・不採択の原因になる
通常枠の減点措置には、次の規定があります。
- 旧IT導入補助金2024または2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する補助事業者は、審査で減点される
- プロセスが完全に一致する場合は不採択となる
この判定は補助事業者の申請時に行われます。IT導入支援事業者がプロセスを広く選んでいると、過去に補助金で同じ領域のソフトウェアを入れた補助事業者に提案したとき、重複に当たりやすくなります。
プロセスの選択を補助額の上限だけで決めると、後で困ることがあります。過去に旧IT導入補助金を使った補助事業者が多い業種を主戦場にしているなら、プロセスを広く取ることで重複に当たりやすくなります。主力の提案先に過去採択の補助事業者がどれだけいるかを踏まえて、登録時の選択を決めることが大切です。
プロセスはあとから追加できる
プロセスは、登録完了後も変更追加で追加できます。入力項目一覧でも「プロセスの選択」は変更追加の対象に含まれています。ただし、変更追加の審査中に交付申請すると、変更前の情報で申請することになります。
5. 価格の登録
標準販売価格と最小販売価格の意味
価格の入力の決まりは次のとおりです。
- 標準販売価格=定価
- 最小販売価格=最大値引き後の価格
- サブスクリプションの場合は年額(税抜き)を入力
最小販売価格は「下げられるだけ下げてよい」ものではありません。最小販売価格は交付申請で使える下限ですが、同時に「この価格で売ることがある」という申告でもあります。値引き幅が大きすぎると、価格の妥当性について事務局から説明を求められます。
禁止されている価格の操作
価格については、次の行為が禁止されています。
- 購入額を証明する書類の金額と実際に支払った金額を一致させないこと(ポイントやクーポンで実質的に値引きする、購入額を払い戻すなどを含む)
- 一般に発売されている通常価格より特別に引き上げた価格で登録して補助金の交付を受けること
- 第三者からの資金提供を受けて、関係者間で資金を還流させること
定価を引き上げて登録することは、この禁止行為に当たります。
申請価格理由書が必要になる場合
過去のIT導入補助金やデジタル化・AI導入補助金の平均的な市場価格を大幅に上回る価格を設定する場合、申請画面に「申請価格理由書」の添付欄が表示されます。理由書には価格設定の詳細な理由と、類似ツールとの価格・機能の比較を書きます。
基準にしている価格を事務局に問い合わせても回答は得られないと、公式資料に書かれています。自社で類似ツールを調べて説明を組み立てる必要があります。
6. 差し戻しを防ぐ資料の作り方
差し戻しの大半は、ツールの中身ではなく提出資料の書き方で起きます。事務局自身が資料に「不備が頻発している」と明記しており、事前に読めば避けられるものが多いです。
機能説明資料(大分類Ⅰソフトウェアの場合)
記載が必要な項目は次のとおりです。事務局は、この中に不備が頻発している項目があるとして、提出前に精査するよう求めています。
| No | 項目 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 | ITツールの正式な製品名 | 申請画面の「正式ITツール製品名」と一致していること |
| 2 | プラン名 | 複数のプランがある場合は明記すること |
| 3 | 開発メーカー名 | — |
| 4 | 画面キャプチャ | ITツール名が分かる画面で撮影すること |
| 5 | 機能一覧・機能概要図 | 対応プロセスをマーカー等で表示する。AI機能があれば同様に明記する。スマートレジに該当する場合は汎用端末の写真も必要 |
| 6 | 業務フロー図 | どのような業務にどういった役割を果たすかが分かるもの |
| 7 | ITツールの利用方法 | — |
価格説明資料
価格説明資料には、次の7つの項目が含まれている必要があります。
- IT導入支援事業者名
- ITツール名
- 税抜き・税込みの明記
- 上限の定めがある表記(「1,000円〜」のような上限のない表記は不可)
- 料金体系ごとの価格(ポータルへの入力値と整合していること)
- 導入事例・実績
- 料金表・カタログ・プラン一覧等の別添(見積書は不可)
特に3から7で不備が頻発していると明記されています。ポータルに入力した価格と価格説明資料の金額が一致していない場合は差し戻されます。
どこを直したか分からない資料を再提出すると、もう一往復が増えます。差し戻し内容のどこを修正したかを、資料のなかで分かるように示してください。
7. 役務の登録と段取り
役務の登録に必要な前提
役務は大分類Ⅰソフトウェアに対するもののみが補助対象です。大分類Ⅱオプションや大分類Ⅳハードウェアに関する役務は補助対象外です。
役務の登録申請は、対象となるカテゴリー1(ソフトウェア)の登録が完了してから行います。価格説明資料のよくある間違いとして、審査中のソフトウェアが記載されていることが挙げられています。
スケジュールの逆算
公募回の締切から逆算して着手する日を決めます。工程ごとの日数は次のとおりです。
| 工程 | 実際にかかることが多い日数 | 公式資料に書かれている最長 |
|---|---|---|
| ソフトウェアの登録審査 | 3営業日程度 | 10営業日程度 |
| 役務の登録審査(ソフトウェアの登録完了後に始まります) | 3営業日程度 | 10営業日程度 |
| 不備の差し戻し1往復 | 自社が資料を直す日数+再審査 | 再審査に10営業日程度 |
ソフトウェアと役務をそろえて提案する場合、この3つを足し合わせると次のようになります。
- 不備がなければ、6営業日程度(2週間ほど)で両方の登録が終わります
- 不備が1往復入り、審査が最長までかかると、30営業日程度(6週間ほど)に伸びます。
これに、自社が資料を直す日数が加わります
差が大きいのは、審査にかかる日数が申請の混み具合で変わるためです。公募回の締切前は申請が集中します。
早ければ2週間で終わりますが、不備が1往復入ると6週間かかることもあります。
締切の1か月前に着手しておけば、不備が1回来ても間に合う可能性が残ります。
2週間を切ってから着手すると、不備が来た時点でその公募回には間に合いません。
- 公募回の締切日を公式サイトで確認する
- ソフトウェアと役務をそろえるなら、締切の1か月前を目安に着手する
- ソフトウェアだけなら、締切の2〜3週間前を目安にする
- 差し戻しの通知が届いたら、その日のうちにIT事業者ポータルで不備の内容を確認する
- 訂正して再申請する。ここで日数を使うと、そのぶん登録が後ろにずれる
役務の価格登録のルール
役務の時間単価は1万円が上限です。実際の単価が上限を超えていても、費用全額が補助対象外になるわけではありません。時間単価2万円・10時間・2人のケースでは、時間単価を1万円として登録することで1万円×10時間×2人=20万円が補助対象の上限になります。
役務の価格説明資料は事務局指定のExcel様式(カテゴリー5・6・7それぞれ別の様式)を使います。「業務内容」シートと「価格の内訳」シートを埋めます。他カテゴリーの業務内容が書かれている、単語だけで具体的な業務内容が読み取れない、実施作業が作業単位で書かれていない、といった間違いが例示されています。
登録では全部、交付申請では実施分だけ
登録の時点では、その補助事業で実施しうる業務内容と価格をすべて計上しておきます。交付申請では、実際に実施する業務だけを申請します。
登録した標準販売価格に、実施しない業務内容が含まれていた場合は、不適切な申請として交付決定の取消し等の措置が講じられる可能性があると明記されています。
実績報告では業務内容ごとの価格を申告します。「実施実態資料(業務日誌・勤怠管理簿・議事録等)」の提出を求められる場合があり、出せない場合はその役務の費用が補助対象外になります。
カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)の対象費用は、「導入開始から導入完了(納品日)まで」に発生したものです。納品日より後に行う初期設定や商品設定の作業は対象になりません。「契約後に設定しないと動かない」という商流の場合、納品日の定義を商流に合わせて設計するか、納品日以降の作業はカテゴリー7(保守サポート)や活用コンサルティングの範囲で組み立てる必要があります。
8. 登録後の変更・取下げ・登録解除
変更には2種類ある
登録済みのITツール情報を修正する方法は次の2つです。
| 方法 | 審査 | 変更できる範囲 |
|---|---|---|
| 変更追加 | 必要 | ほとんどの情報 |
| 情報変更(申請なし) | 不要 | ITツール管理コードと、ホームページへの掲載の有無の2点のみ |
変更追加の審査中も、ステータスは「登録済」のまま表示されます。変更追加の審査中に交付申請すると、変更前の情報で申請することになります。
登録の入力項目一覧を見ると、カテゴリー1(ソフトウェア)の「AI関連の有無」は、変更追加・情報変更(申請なし)のどちらにも対応していません。登録後にAI機能を追加した場合でも、この項目を変更する手続きは用意されていません。AI機能を載せる予定があるなら、登録申請の時点でその旨を含めて設計してください。
取下げできる場面は限られている
取下げができるかどうかは申請の種別とタイミングで異なります。
| 申請の種別 | 審査前 | 不備訂正時 | 変更追加時 |
|---|---|---|---|
| 先行登録 | 不可 | 可能 | 可能 |
| 追加登録 | 可能 | 可能 | 可能 |
先行登録は、審査に出す前の段階では単独で取り下げられません。取り下げる場合はIT事業者ポータルから事業者情報自体を取り下げることになります。
審査完了後の登録解除は可能です。ただし、交付申請に使われているITツールと、変更追加申請中のITツールは登録解除できません。
コンソーシアムの場合の手順
コンソーシアムの場合、構成員が入力した内容は幹事社が承認するまで事務局に届きません。構成員が入力を終えた時点で申請が完了したと思い込む取り違えが起きやすい場所です。構成員の作業が終わったら、幹事社の承認を行ってください。
9. よくある質問
Q1. 2つ目以降のITツールは、いつ登録申請できますか?
IT導入支援事業者としての登録が完了した後です。交付申請を行う予定があるITツールを申請してください。コンソーシアムで構成員が登録する場合は、幹事社が「構成員が入力」を選んだうえで、構成員が入力し、幹事社が承認します。
Q2. 1つのソフトウェアに対して、導入設定(カテゴリー6)や保守サポート(カテゴリー7)を複数登録できますか?
どちらも1つのみです。ただしコンソーシアムの場合は、コンソーシアム内の他者が登録したカテゴリー1(ソフトウェア)に対して登録できます。
Q3. 審査の結果はどうやって確認しますか?
IT事業者ポータル内またはメール等で通知されます。不備がある場合、不備の詳細はメールではなくIT事業者ポータルで確認します。
Q4. 不備の訂正に期限はありますか?
期限があります。不備の内容と訂正の期限は、IT事業者ポータルと事務局からの通知で確認してください。期限を過ぎると、その登録申請は登録されないまま終わります。
Q5. 汎用プロセス(汎P-07)だけを持つソフトウェアを登録できますか?
2つ目以降の登録であれば対象です。ただし、IT導入支援事業者の登録申請と同時に行う先行登録申請には使えません。先行登録申請には、業務プロセスを持つカテゴリー1(ソフトウェア)か、カテゴリー10(サイバーセキュリティお助け隊サービス)を使います。
Q6. 保守サポート(カテゴリー7)は2年分を登録できますか?
登録申請の時点では最大1年分です。2年分を申請する場合は、登録申請時ではなく交付申請時に利用年数を申請します。買取のソフトウェアに対する保守費用は最大2年分、月額・年額で使用料金が定められている形態のソフトウェアに対する保守費用は、申請するソフトウェアの利用期間の範囲内で最大2年分が補助対象です。
Q7. AI機能を搭載しているツールは、審査で有利になりますか?
AI機能があること自体は通常枠の加点項目ではありません。「AI関連の有無」を申告すると、デジタル化・AI導入補助金のホームページのITツール検索画面にその情報が表示されます。審査での評価とホームページでの表示は別の話です。
Q8. コンソーシアムで、他社が登録したソフトウェアに自社の役務を紐づけられますか?
できます。ITツール登録では、コンソーシアム内の他者が登録したカテゴリー1(ソフトウェア)を指定して、カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)とカテゴリー7(保守サポート)を登録できます。交付申請では、実際に役務を提供する幹事社または構成員が登録したものを申請します。
Q9. 同じセキュリティサービスを、カテゴリー4とカテゴリー10の両方に登録できますか?
できます。交付申請できる枠が違うためです。カテゴリー4(セキュリティ)は通常枠とインボイス枠(インボイス対応類型)、カテゴリー10(サイバーセキュリティお助け隊サービス)はセキュリティ対策推進枠で申請できます。
Q10. 交付決定を受けていないITツールを、実績報告のときに追加できますか?
できません。交付決定を受けていないITツールは、実績報告時に説明資料を提出しても補助対象外になります。また、大分類Ⅰから大分類Ⅲ、大分類Ⅴでは、定められた補助対象期間(1年または2年)を超えた金額も補助対象外です。
Q11. 登録したITツールの情報は公開されますか。登録後に内容が変わったらどうしますか?
登録されたITツールの情報は、デジタル化・AI導入補助金のホームページに掲載されます。登録済みのITツールの情報に変更が生じた場合は、変更申請を行うことが求められています。
Q12. POSレジシステムと一緒に導入するタブレットは、カテゴリー8で登録できますか?
できません。POSレジシステムと併せて導入するPC・タブレット(いわゆるモバイルPOSレジ)は、POSレジ機器の扱いになるため、カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)に登録申請します。カテゴリー8をPOSレジシステムの利用目的で導入することはできません。
Q13. ITツールの登録が取り消されることはありますか?
あります。登録されたITツールについて虚偽や不正、その他不適当な事項が発覚した場合、交付規程に基づいてITツールの登録取消が行われます。事務局は事前の連絡なく立入調査を行うことができ、不適当と判断された場合は交付決定の取消しとあわせて、IT導入支援事業者とITツールの登録取消が行われます。その後の交付申請や登録申請を拒否される場合もあります。
10. まとめ
ITツール登録について、押さえるべき点を4つに絞ります。
- 登録が完了していないITツールは交付申請に使えない。 審査は3営業日程度で終わることが多いものの、公式資料上の最長は10営業日程度です。役務はソフトウェアの登録完了後に始まるため、両方をそろえるなら公募回の締切の1か月前を目安に着手してください。
- プロセスの選択は、補助額と顧客の採否の両方に効く。 旧IT導入補助金を使った補助事業者が多い業種に提案する場合、プロセスを広く選ぶと重複に当たりやすくなります。補助額の上限だけでなく、主力の提案先の状況を踏まえて決めてください。
- 差し戻しの大半は提出資料の書き方で起きる。 「不備が頻発している」と事務局が指摘する項目は事前に把握できます。機能説明資料と価格説明資料に何を書くかは、申請前に公式資料で確認してください。
- 役務の登録はソフトウェアが通ってから。実施しない業務を含めたまま申請しない。 登録時に想定される業務をすべて計上し、交付申請では実際に実施するものだけを申請します。この二段構えが実績報告のトラブルを防ぎます。
4つはつながっています。スケジュールを逆算して早めに登録を始める(1番)ことで、プロセスの選択や資料の作り方(2番・3番)を見直す余裕が生まれます。役務の段取り(4番)は最も時間がかかる工程で、ここだけ直列でスケジュールが積み上がります。商談が決まってから動き始める習慣があるなら、登録の準備だけは先に進めておくことで、公募回を取り逃がす場面を減らせます。
KIZASHIでは、ITツール登録の準備から交付申請の支援まで、IT導入支援事業者向けのサポートを行っています。
ITツール登録要領 2026年1月23日に新規作成。2026年5月15日に、対外的に無償で提供されているものを登録対象外とする規定から「スマートレジ」に該当するカテゴリー1(ソフトウェア)を除く改訂が行われ、あわせて各カテゴリーのスマートレジに関する留意事項と、機能説明資料の記載要件が追加されました。
ITツール登録マニュアル 2026年2月27日に新規作成。2026年6月12日にスマートレジに該当するITツールの登録方法と要件を追加、6月22日に要入力項目早見表へスマートレジの記載を追加、6月26日にスマートレジの事前登録申請に関する記載を削除、7月9日に機能説明資料に関する記載を追加。
ITツール登録における注意ポイント 2026年2月27日に策定。2026年5月15日に機能説明資料へスマートレジに関する留意事項を追加、6月12日にスマートレジに該当するITツールの機能説明資料の表記方法を追加。
最終更新:2026年8月18日(2026年5月15日改訂のITツール登録要領、2026年7月9日改訂のITツール登録マニュアル、2026年6月12日改訂のITツール登録における注意ポイント、2026年5月15日改訂のデジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)を反映)
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