スマートレジの加点とは
目次
この記事は、中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局が公開するITツール登録マニュアル(2026年7月9日改訂版)と、ITツール登録要領・公募要領をもとに作成しています。
1. スマートレジは加点の対象になります
先に結論です。スマートレジは、インボイス枠の公募要領で加点項目のひとつとして定められています。
導入するITツールとして「スマートレジ」を選定していること。(第3回公募回より加点措置を実施)
スマートレジは2026年度に新しく設けられた区分です。ITツール登録の際に「スマートレジに該当するか」を申告する項目が増えた、というだけの話に見えますが、その申告が交付申請の審査に効いてきます。
枠を取り違えないよう注意してください。加点になるのはインボイス枠です。通常枠とセキュリティ対策推進枠の公募要領には、スマートレジによる加点の記載はありません。複数者連携デジタル化・AI導入枠では、補助対象外となる経費の規定からスマートレジに関連するITツールが除かれています(加点ではありません)。
この記事に出てくる言葉
公式資料や申請画面で使われている言葉です。途中で分からなくなったら、ここに戻ってきてください。
| 言葉 | どういう意味か |
|---|---|
| スマートレジ | 2026年度に新しく設けられた区分です。POSシステム・クラウド・汎用端末の3つの要件を満たすITツールが当たります(第3章) |
| 大分類/カテゴリー | ITツールを登録するときの区分です。大分類Ⅰ(ソフトウェア)の中がカテゴリー1〜7、大分類Ⅳ(ハードウェア)の中がカテゴリー8・9に分かれます |
| カテゴリー1 | ソフトウェアです。スマートレジではPOSレジシステムが当たります |
| カテゴリー9 | POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機です |
| 機能説明資料 | 登録するITツールの機能を説明する資料です。要件を満たすことは、この資料から確認できる必要があります |
| クラウドツール | ITツール登録要領が定めるクラウドの条件を満たすツールです |
| 汎用端末 | スマートフォンやタブレットなど、決済以外にも使える端末です |
| インボイス枠 | インボイス制度への対応を後押しする枠です。スマートレジの加点があるのはこの枠だけです |
| 交付申請 | 補助金を出してくださいと申請することです |
2. 加点の対象になる条件。片方だけでは足りません
インボイス枠の公募要領には、加点の対象になる条件が2通り書かれています。
| カテゴリー9を 導入する場合 | カテゴリー1(ソフトウェア)とカテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)の双方がスマートレジとして登録されている場合に、加点の対象となります |
|---|---|
| カテゴリー9を 導入しない場合 | カテゴリー1(ソフトウェア)がスマートレジとして登録されていれば、加点の対象となります |
ハードウェアも一緒に提案する場合は、ソフトウェアとハードウェアの両方がスマートレジとして登録されている必要があります。どちらか片方だけでは加点になりません。
自社のツールをスマートレジとして登録しておくかどうかで、お客様が加点を取れるかどうかが変わります。登録していなければ、提案の内容が同じでも加点の分だけ不利になります。
POSレジ本体もあわせて提案するなら、ソフトとハードの両方を登録しておく必要があります。片方だけ登録して提案すると、加点を見込んでいたお客様の期待に応えられません。
ここから先は、その「スマートレジとして登録する」ために何が必要かを順に見ていきます。
3. スマートレジとは。3つの要件
ITツール登録要領に定義があり、次の3つをすべて満たすものが「スマートレジ」に該当します。
- POSシステムであること
- クラウドツールであること(ITツール登録要領が定めるクラウドツールの定義に従います)
- スマートフォンやタブレット等の汎用端末等にインストールされて利用されること
3つ目について、決済業務のみに利用できる専用端末の場合は、モバイル型の専用端末だけが対象になります。据え置き型の決済専用端末は含まれません。
該当する場合は、ITツールの登録申請時にその旨を申告します。そして要件を満たすことは、機能説明資料(登録するITツールの機能を説明する資料)から確認できる必要があります。口頭での説明や、あとからの補足では通りません。
「うちのサービスはスマートレジに当たるはずだ」と考えていても、判断の材料になるのは提出した機能説明資料です。3要件それぞれが資料上で確認できる状態にしてから申請してください。
4. 無償のソフトウェアでも登録申請できる例外
ITツール登録には、対外的に無償で提供されているものは対象にならないという原則があります。大分類(ソフトウェア・オプション・ハードウェアなどの区分)とカテゴリーのすべてに共通する決まりです。
2026年5月15日のITツール登録要領の改訂で、この対象外の規定から「カテゴリー1(ソフトウェア)のうちスマートレジに該当するもの」が除かれました。スマートレジだけが例外になったということです。
あわせて、6月12日のITツール登録マニュアルの改訂で、価格の入力についても書き加えられました。カテゴリー1(ソフトウェア)で、かつスマートレジにあたる場合に限り、標準販売価格と最小販売価格を無償(0円)で登録申請できます。
5. その例外が、ハードウェアの登録につながります
0円で登録できること自体は、一見すると意味が分かりにくい変更です。無償のソフトウェアを登録しても、補助金は出ないからです。
効いてくるのはハードウェアのほうです。
カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)を登録するには、条件があります。登録済みのPOSレジシステムを入れて使う機器であることです(ITツール登録要領)。そのPOSレジシステムは、「会計」「受発注」「決済」のうち「決済」の機能を持つカテゴリー1(ソフトウェア)である必要があります。
POS業界では「アプリは無料で配り、収益は決済手数料と周辺機器で得る」という売り方が広く行われています。この形だと、ソフトウェアが無償であるために登録できず、結果としてハードウェアも登録できませんでした。今回の例外は、この連鎖を解いたものです。
つまり、こういうことです。無償のPOSアプリを配っている会社が、そのアプリを0円で登録します。すると、POSレジ本体や周辺機器も補助の対象として登録申請できるようになります。第2章の加点にも手が届くようになった、ということです。
なお、カテゴリー9の付属品として対象になるのは次の8種類です。
- キャッシュドロワ
- カスタマーディスプレイ
- レシートプリンタ
- 自動釣銭機
- カードリーダ
- バーコード・QRコードリーダ
- Wi-Fiルータ
- 運搬費(POSレジの運搬にかかる費用)
交付申請では、付属品は各種類1つまでしか補助対象になりません。2台分をまとめて申請することはできないため、提案時に伝えておく必要があります。
6. 申告が必要なのはソフトウェアだけではない
スマートレジへの該当を申告するのは、カテゴリー1(ソフトウェア)だけではありません。対象となるカテゴリー1がスマートレジに該当する場合、次のカテゴリーでも申告が必要です。
| カテゴリー2 機能拡張 | 機能拡張の対象となるカテゴリー1がスマートレジに該当する場合 |
|---|---|
| カテゴリー3 データ連携ツール | 対象となるカテゴリー1がスマートレジに該当する場合 |
| カテゴリー4 セキュリティ | 対象となるカテゴリー1がスマートレジに該当する場合 |
| カテゴリー9 POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 | スマートレジをインストールして利用するPOSレジまたはモバイルPOSレジに該当する場合 |
2026年6月22日の改訂で、ITツール登録マニュアルの「要入力項目早見表」にスマートレジの欄が追加されました。どの大分類で申告が必要かは、この表で確認できます。
7. 機能説明資料の作り方
スマートレジで差し戻しが起きるとすれば、ほとんどが機能説明資料です。求められている内容が通常より多いためです。
大分類Ⅰ(ソフトウェア)の場合
インストール可能な端末の写真掲載が必須です。そのうえで、3つの要件を満たすことをマーカー等で表示して明記します。
- 汎用端末に特定の製品名称が書かれている場合は、その箇所をマーカー表示します
- 特定の製品名称が書かれていない場合は、決済業務以外にも汎用的に使える旨の記載箇所をマーカー表示します
- POSレジ専用端末の場合は、タブレット等のモバイル型の専用端末であることをマーカー表示します
大分類Ⅳ(ハードウェア)の場合
こちらも端末の写真掲載が必須です。端末に応じて次の内容をマーカー表示します。
- 汎用端末の場合:特定の製品名称が明記されていること(明記がない場合は、決済業務以外にも汎用的に利用できる旨の記載箇所)
- POSレジ専用端末の場合:POSレジとして利用する専用端末であること、およびタブレット等のモバイル型で持ち運びが可能であること
他社製品を登録する場合
2026年7月9日のITツール登録マニュアルの改訂で、ITツールが他社製品の場合は開発メーカー名の入力が必要になりました。機能説明資料に開発メーカー名が明示されており、マーカー等で表示する必要があります。別売り付属品が複数あるときは、付属品ごとに開発メーカー名を記載します。
自社開発でないツールを扱っている場合、既存の機能説明資料には開発メーカー名が入っていないことがあります。登録前に確認してください。
8. スマートレジ対応が固まるまでの流れ
スマートレジは短い期間に何度も資料が改訂されました。いま公開されている資料だけを見ると経緯が分からないため、時系列で整理します。
| 2026年5月15日 | ITツール登録要領を改訂。スマートレジの3要件を新設し、無償提供の対象外規定から除外 |
|---|---|
| 2026年6月12日 | ITツール登録マニュアルに登録方法と要件を追加 |
| 2026年6月15日 | 事前登録申請の期限 |
| 2026年6月16日 | 第3回公募回が開始。この回からスマートレジの加点措置を実施 |
| 2026年6月22日 | ITツール登録マニュアルの「要入力項目早見表」にスマートレジの欄を追加 |
| 2026年6月26日 | ITツール登録マニュアルから事前登録申請に関する記載を削除。案内資料もダウンロードページから削除 |
| 2026年7月9日 | ITツール登録マニュアルに他社製品の場合の開発メーカー名の記載を追加 |
事前登録の受付はすでに終わっています。現在は通常の登録申請の中でスマートレジへの該当を申告する形です。
9. よくある質問
| スマートレジは加点になりますか | インボイス枠の公募要領で、加点項目のひとつとして定められています(第3回公募回より加点措置を実施)。通常枠とセキュリティ対策推進枠の公募要領には、スマートレジによる加点の記載はありません。 |
|---|---|
| ソフトウェアだけ登録していれば加点されますか | カテゴリー9(POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)を導入しない場合は、カテゴリー1(ソフトウェア)がスマートレジとして登録されていれば加点の対象になります。カテゴリー9を導入する場合は、カテゴリー1とカテゴリー9の双方がスマートレジとして登録されている必要があります。 |
| 据え置き型のPOSレジはスマートレジに該当しますか | 3要件のうち「スマートフォンやタブレット等の汎用端末等にインストールされて利用されること」を満たす必要があります。決済業務のみに利用できる専用端末の場合、対象になるのはモバイル型の専用端末に限られます。 |
| 無償で提供しているソフトウェアは登録申請できますか | 原則として対外的に無償で提供されているものは対象外ですが、カテゴリー1(ソフトウェア)のうちスマートレジに該当するものは除外されています。標準販売価格および最小販売価格を0円で登録申請できます。 |
| ソフトウェアを登録せずにPOSレジ本体だけ登録できますか | できません。カテゴリー9は、決済機能を持つカテゴリー1(ソフトウェア)で登録されたPOSレジシステムをインストールして利用する機器が対象です。 |
| 付属品は何台分まで申請できますか | 交付申請では、付属品は各種類1つまでしか補助対象になりません。 |
| スマートレジに該当するかは誰が判断しますか | 提出された機能説明資料をもとに事務局が確認します。要件を満たすことが資料から確認できる必要があります。 |
| 事前登録申請はまだ受け付けていますか | 受付は2026年6月15日で終了しています。案内資料もダウンロードページから削除されました。現在は通常の登録申請の中で申告します。 |
10. まとめ
スマートレジで押さえるべき点は4つです。
1つ目は、インボイス枠では加点の対象になること。2つ目は、ハードウェアも提案するならソフトとハードの両方がスマートレジとして登録されている必要があること。3つ目は、該当するにはPOSシステム・クラウド・汎用端末の3要件をすべて満たす必要があること。4つ目は、無償のソフトウェアでも登録申請できる例外が設けられたことです。
この4つは1本につながっています。ソフトウェアを登録できなければハードウェアも登録できず、両方が登録されていなければ加点にも届きません。
無償のPOSアプリを提供している会社にとっては、これまで登録の入口に立てなかった状態が変わりました。ただし機能説明資料の要求水準は高く、端末の写真掲載とマーカー表示が求められます。ここを整えないまま申請すると差し戻されます。
KIZASHIでは、ITツールの登録内容の組み立てから機能説明資料の作り方まで、御社の登録手続きをお手伝いしています。
2026年7月9日 他社製品の場合の開発メーカー名に関する記載が追加されました。
2026年6月26日 スマートレジの事前登録申請に関する記載が削除されました。
2026年6月22日 要入力項目早見表にスマートレジの欄が追加されました。
2026年6月12日 スマートレジの登録方法と要件が追加されました。
最終更新:2026年8月13日(2026年7月9日改訂のITツール登録マニュアルを反映)
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