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デジタル化セカンドオピニオンとは。
加点条件と面談の流れを解説

デジタル化セカンド
オピニオンとは
澁谷 凌

1. デジタル化セカンドオピニオンとは

デジタル化セカンドオピニオンは、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠に用意された加点措置です。ITベンダー以外の第三者(事務局が定める「確認者」)とオンラインで面談し、デジタル化の目的や取り組みについて客観的な意見を受けた申請者に、交付申請の審査で加点が行われます。

対象は通常枠に限られます。セキュリティ対策推進枠やインボイス枠では加点されません。

確認者を務めているのは、中小企業診断士やITコーディネータです。面談時間は30分から1時間で、45分程度を見ておくとよいでしょう。

確認者は次の2つの軸で評価します。

評価軸1
取組内容の整合性・論理性
現状の課題と導入するツールがつながっているか。導入目的が明確か。将来目指す姿と申請内容が矛盾していないか。スケジュールや体制に現実性があるか。
評価軸2
経営者の理解度・意欲
経営者が自らの言葉で説明できているか。計画内容を理解しているか。現場任せ・ベンダー任せになっていないか。導入後も継続的に関与する意思があるか。
高度である必要はありません

デジタル化として先進的かどうかは見られていません。自社にとっての必要性を整理して、経営者が自分の言葉で伝えられるかどうかが評価の中心です。

2. 加点を受けられる条件

マニュアルには、加点条件が次のように定められています。

  • 通常枠の申請者であること
  • 事務局が定める第三者である「確認者」と面談を実施すること
  • 経営者(代表取締役、個人事業主の場合は本人)が対応すること
  • 面談中はカメラを有効にしていること
  • 面談の録画について承諾していること

面談にIT導入支援事業者やITベンダーが同席することは認められていません。一方で、デジタル化の責任者など社内の関係者が同席することは可能です。

また、事務局が定めるシステムの外で確認者と面談した場合は、加点対象になりません。加点を希望する場合、申請する募集回の申請締め切りまでに面談を実施している必要があります

3. 面談までの流れ

  1. 制度の趣旨を理解する
  2. 申請マイページにログインし、手続きを開始する
  3. デジタル経営ビジョンを作成する
  4. 確認者を検索する
  5. 予約フォームを入力し、送信する
  6. 確認者が確認者ポータルで面談可能な日程を登録する
  7. 予約が確定し、申請者と確認者それぞれに日程確定メールが届く
  8. Zoomでオンライン面談を実施する

予約フォームは、複数の確認者に対して同時に送ることができます。1人の返事を待って不成立になると次を探す時間がないため、締切が近い場合はこの点が効いてきます。

なお、予約フォームの送信時、面談希望日時とチェックボックス以外は前回の入力内容が自動で反映されます。ただし別の確認者に申し込む際は入力し直しになる場面があるため、書いた内容は手元に控えておくことをおすすめします。

4. デジタル経営ビジョンとは。全7問と書き方

デジタル経営ビジョンは、予約フォームで入力する事前質問です。加点を受ける申請者が記入する、簡易的な事業計画にあたります。

この内容に沿って面談が進みます。つまり、ここに書いたことは口頭でも説明できる状態にしておく必要があります。書きっぱなしにすると、面談で食い違いが出ます。

① 現状把握
必須
主要業務のデジタル化・AI活用の状況を5つ以上。使っている生成AIツールがあれば記載
② 将来目指す姿
必須
会社全体の方向性と、そのためにデジタル化をどう進めるか
③ 本申請の目的
必須
実現したい目的と、このITツールを選んだ理由
④ スケジュール
必須
導入前・導入後・1年後にどう活用するか
⑤ 体制整備
必須
経営者とデジタル化責任者の氏名と役割
⑥ 経営者の関わり
必須
プルダウンで選択
⑦ その他
任意
特記事項。なければ空欄で構わない

①現状把握の書き方

主要な業務ごとに、いま何を使っているかを並べます。5つ以上が必須です。

記入例

顧客管理:Excel
見積・請求:手書きと表計算ソフトの併用
在庫管理:紙の台帳
社員教育:OJT中心(デジタル化できていない)
勤怠管理:紙のタイムカード
受発注:電話・FAX
○生成AI 未使用

できていない業務も、そのまま正直に書いてください。できていないことは減点になりません。現状を経営者が把握していること自体が評価されます。

②将来目指す姿の書き方

会社の方向性を先に書き、そのためになぜデジタル化が必要かを続けます。順番が逆になると、ツールありきの話に見えてしまいます。

3年後の目標(売上、体制、事業の形)を書き、そこに至るうえで何が足りていないか、その解決として今回の導入がどこに位置するかを示します。今回の導入が「最初の一歩」であることを書いておくと、単発で終わらない姿勢が伝わります。

③本申請の目的の書き方

課題と、そのツールを選んだ理由を書きます。「業務が属人化している」「担当者しか分からない状態になっている」といった具体的な状態を示したうえで、そのツールでどう変わるかを続けます。

④スケジュールの書き方

導入前・導入後・1年後の3つに分けて書きます。ここで効くのが、「使われなくなるリスクにどう対応するか」まで書いておくことです。

  • 導入前:目的を全社員に説明する。誰がいつ使うかの計画を決める
  • 導入後:アカウントを設定する。責任者が毎月利用状況を確認し、進んでいない人をフォローする
  • 1年後:全員が使いこなしている状態。数字で成果を確認する

導入して終わりではなく、定着させる設計が書かれているかを見られています。

⑤体制整備の書き方

経営者とデジタル化責任者の氏名、そしてそれぞれの役割を書きます。経営者と責任者が同じ人でも構いません。小規模な会社であれば「私が両方を担い、実務の補助は担当者が行う」といった書き方で問題ありません。

⑥経営者の関わり

プルダウンでの選択ですが、「経営者が積極的にデジタル化に関わり、経営戦略として推進している」を選べる状態にしておきます。選ぶだけでは足りません。面談で「具体的にどう関わるか」を話せることが前提です。

⑦その他

特記事項がなければ空欄で構いません。過去に補助金で導入した実績がある場合は、その活用状況を書いておくと、継続的な取り組みとして伝わります。

5. 実際の面談で聞かれること

ここからは公式のマニュアルに書かれていない、実際の面談で確認された内容です。当社が支援した申請者への面談後のヒアリングをもとにしています。

数値目標(KPI)は必ず聞かれます

「どの業務がどう変わるのか」「測れる数字はあるか」という形で問われます。大きな数字である必要はありません。自社で測れる数字を1つから3つ用意しておけば足ります。作業時間の削減、対応件数、独り立ちまでの期間など、社内で数えられるもので構いません。

導入費用を把握しているかを問われます

「費用は効果に見合うと考えているか」という聞き方をされます。ここで金額を答えられないと、経営者が内容を分かっていないと受け取られます。自社の申請金額は手元に控えて面談に臨んでください。

「ツールが使われなくなるリスクにどう対応しますか」と聞かれます

定着の設計を見ています。利用時間をルールとして確保する、責任者が毎月確認する、といった具体的な運用を答えられるようにしておきます。

「経営者としてどのタイミングで進捗を確認しますか」と聞かれます

現場任せになっていないかの確認です。頻度とやり方を具体的に言えるかどうかが分かれ目になります。「月に1回、責任者から報告を受ける」「半年ごとに効果を確認する」といった形です。

事前入力に書いていないツールについて確認されます

「これも導入されるのですね」という形で聞かれた例があります。事前入力と口頭説明の食い違いは見つかります。申請するツールはすべて事前入力に書いておいてください。

生成AIを使っているかを聞かれます

使っていなくても減点ではありません。組織としてAIを活用する姿勢は「あれば望ましい」観点とされています。使っていないなら「今回の導入で社員のITへの抵抗感をなくし、その先でAI活用に取り組みたい」といった形で構いません。事実と異なることを言う必要はありません。

台本を読み上げないでください

確認者は「ベンダーの説明の受け売りではないか」を確かめる質問をしてきます。用意した文章を暗記して読み上げると、かえって評価が下がります。準備した内容を、経営者自身の言葉に置き換えて話せる状態にしておくことが大切です。

評価結果や加点の有無は通知されませんが、面談の場で確認者から口頭で感想をもらえることがあります。ただしこれは採択を保証するものではありません。

6. 2026年7月22日の改訂。キャンセルが原則不可に

2026年7月22日、このマニュアルが改訂されました。実務に影響する変更が2点あります。

面談日程が確定したあとのキャンセルは、原則できなくなりました。やむを得ずキャンセルが必要になった場合は、日程調整結果のメールに記載された連絡先から、事務局に連絡する形になります。

面談開始時刻までに入室しないと、キャンセルとして扱われることがあります。面談開始後、一定時間入室が確認できない場合が対象です。

改訂前は、予約が確定すると申請者と確認者に確定メールが同時に送られ、そこで互いのメールアドレスが共有されていました。キャンセルの打診は確認者に直接メールで連絡する、と書かれていました。当事者どうしで日程を動かす余地があったということです。

改訂後は、確定メールは「それぞれに」送られると書き換えられ、メールアドレスが共有されるという記述は削除されています。連絡先は事務局に一本化されました。

日程を押さえたあとに社長の予定が入り、確認者に直接お願いして動かしてもらう。この逃げ道がなくなった、というのが今回の改訂の要点です。

あわせて、問い合わせ窓口の名称が「コールセンター」から「事務局」に変更されています。

7. 加点を落とす4つのパターン

マニュアルには、面談がキャンセル扱いとなり加点対象にならないケースが挙げられています。

  • 経営者本人が面談に出席できない
    代表取締役、個人事業主の場合は本人です。担当者による代理出席は認められません。
  • 面談開始時刻までに入室しない
    開始後も一定時間入室が確認できない場合、キャンセルとして扱われることがあります。
  • 面談中にカメラを有効にしていない
    確認者・申請者の双方がカメラをオンにする必要があります。
  • 面談の録画に承諾しない
    面談は不正防止などの観点からZoomで録画されます。

いずれも当日の出来事ですが、防ぐ手立てはすべて予約より前の段階にあります。

8. 販売する側が、予約の前にやっておくこと

前述のとおり、面談にIT導入支援事業者・ITベンダーは同席できません。当日にトラブルが起きても現場では助けられないため、対策は予約フォームを送る前に済ませておく必要があります。

社長の予定を先に確定させてから、予約フォームを送る

確定後は動かせないため、「とりあえず候補日を出しておく」という進め方が通用しなくなりました。

申請金額を経営者に伝えておく

面談で必ず問われます。見積の金額を把握しないまま面談に入ると、そこで評価を落とします。

何を導入するのかを、経営者の言葉で言える状態にしておく

自社が導入するのはソフトウェアなのか、サービスなのか。ここが曖昧なまま面談に臨むと、話が噛み合わなくなります。ツールの機能を一通り説明しておくのではなく、「うちはこれをこう使う」と一文で言える状態を作るのがベンダーの仕事です。

事務局からのメールを受け取れる状態にしてもらう

マニュアルでは、次の3つのドメインを受信できるよう設定するとされています。

  • @it-shien.smrj.go.jp
  • @shinsei.it-shien.smrj.go.jp
  • @wb-transfer.toppan-edge.co.jp

日程確定メールには面談のZoom URLが記載されています。これが迷惑メールに振り分けられると、時間になっても入室できません。入室しなければキャンセル扱いです。

Zoomが使える環境か、カメラが映るかを確認しておく

当日に「カメラが映らない」となった時点で、加点はなくなります。

同席できないことを、あらかじめ伝えておく

当日に同席を断られると、経営者だけが残される形になります。事前に伝えておけば、その前提で準備してもらえます。

締切が近いときは、複数の確認者に同時に依頼する

1人の返事を待って不成立になると、次を探す時間がありません。

9. よくある質問

IT導入支援事業者は面談に同席できますかできません。IT導入支援事業者、ITベンダー等の同席は認められていません。デジタル化の責任者など社内関係者の同席は可能です。
経営者以外が面談に対応してもよいですか大枠の説明は経営者自身が行う必要があります。確認者からの追加質問や詳細な内容の説明は、社内の担当者が行っても構いません。経営者が出席できない場合、面談はキャンセル扱いとなり加点対象になりません。
デジタル経営ビジョンは何を書けばよいですか全7問で、現状把握・将来目指す姿・本申請の目的・スケジュール・体制整備・経営者の関わり・その他で構成されます。現状把握は5つ以上の業務について記載が必要です。詳しくは本記事の4章をご覧ください。
面談ではどんなことを聞かれますか数値目標、導入費用の把握、ツールが使われなくなるリスクへの対応、経営者が進捗をどう確認するか、生成AIの活用状況などです。詳しくは本記事の5章をご覧ください。
面談の評価結果は教えてもらえますか確認者から申請者に評価は伝えられません。加点の内容は面談結果を踏まえて事務局が判断します。採択・不採択の理由も開示されません。
日程が確定したあとにキャンセルできますか2026年7月22日の改訂により、原則できなくなりました。やむを得ない場合は、日程調整結果のメールに記載された連絡先から事務局に連絡します。
通常枠以外でも加点されますかされません。加点対象は通常枠に限られます。
いつまでに面談を受ければよいですか加点を希望する募集回の、申請締め切りまでに面談を実施している必要があります。

10. まとめ

デジタル化セカンドオピニオンは、通常枠で加点を取りにいくなら押さえておきたい措置です。

準備の中心はデジタル経営ビジョンの7問です。ここに書いた内容がそのまま面談で問われるため、書きっぱなしにせず、経営者が自分の言葉で話せる状態まで持っていく必要があります。数値目標と申請金額は必ず聞かれるので、この2つだけでも先に押さえておいてください。

そして2026年7月22日の改訂で、日程を押さえた時点で後戻りできない仕組みになりました。面談に同席できない以上、販売する側にできるのは予約より前の準備だけです。

KIZASHIでは、申請者向けの事前質問の書き方から面談当日の準備まで、御社のお客様への案内をお手伝いしています。

この資料の改訂履歴

2026年7月22日 面談のキャンセルに関する記載が変更されました。日程確定後のキャンセルが原則不可となり、連絡先が確認者から事務局に変わりました。面談開始時刻までに入室しないとキャンセル扱いになる旨も追記されています(P.25、P.27、P.29)。
2026年6月12日 本マニュアルが策定されました。

デジタル化・AI導入補助金 資料改訂履歴をすべて見る / 現行版(公式サイト)

最終更新:2026年8月13日(2026年7月22日改訂のマニュアルを反映)

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